わたしはそうやって生まれたの
堕落者は言った
あんたにあっておれにないものは何か
そんなこと分からなかった
野蛮なものは相手にもしなかった
ただひたすらな頑張りを私は繰り返していた
私は間違っていない
私は正しいのだ
そうやって白く塗られた壁を私の周りに建てた
邪悪なものが侵入しないように
堕落者は言った
あんたのそういう真っ白なところがだめなんだ
色を付ける楽しさを知らない愚かなやつだ
ある日ジャングルからでてきたライオンの背中についていた
ペンキの色を素敵だと思った
そのときの私は自然と人間の共存だと思ったのだ
でも私は間違っていた
一方的な共存は もはや共存ではない 依存だと
気付いたのだ
白い壁を外側から打ち砕く堕落者が
何をそんなに必死になっているのかが私には理解しがたかった
私は少なくともこの場所を動かないのに
ここにいると分かっているのに
私はライオンではなかった
もちろんシマウマでもなかった
私は愚かな堕落者だった
打ち砕かれた壁のなかにはなにがあったのか
それを知ってしまったために
私は私としてこのよにうまれた
(2007.11.8)