3asy to man!plate

もの書きの練習帳

冬がやってきた。

冬がやってきた。

暗闇のなかで、窓をたたきつける音が響く

カーテンの向こう側にはどんな景色が広がっているのか

寒いから開けて確認しようなんて思わなかった

冷たい指と鼻先だけで冬の訪れは十分わかった

毛布の中の足をくねらせる

湯たんぽの缶ががたんと落ちる

すうっと深く吸った息が鼻の中を通る

ぼんやりと黄ばんだ天井を見ながら

外の景色を想像する

点滅する横断歩道を急ぎ足で渡る恋人たち

彼女の鼻は少し赤くて白い息を漏らしている

傘なんて持ってないよと言いながら

これまた急ぎ足で進む彼に必死についていく彼女は

呆れながらも妙に嬉しそうな顔をしている

そんな想像をしながら

ただただ叩きつける雨なのか雪なのかを聞きながら

僕は静かに目を閉じた。冬がやってきた。