冬がやってきた。
冬がやってきた。
暗闇のなかで、窓をたたきつける音が響く
カーテンの向こう側にはどんな景色が広がっているのか
寒いから開けて確認しようなんて思わなかった
冷たい指と鼻先だけで冬の訪れは十分わかった
毛布の中の足をくねらせる
湯たんぽの缶ががたんと落ちる
すうっと深く吸った息が鼻の中を通る
ぼんやりと黄ばんだ天井を見ながら
外の景色を想像する
点滅する横断歩道を急ぎ足で渡る恋人たち
彼女の鼻は少し赤くて白い息を漏らしている
傘なんて持ってないよと言いながら
これまた急ぎ足で進む彼に必死についていく彼女は
呆れながらも妙に嬉しそうな顔をしている
そんな想像をしながら
ただただ叩きつける雨なのか雪なのかを聞きながら
僕は静かに目を閉じた。冬がやってきた。