何を求めて、何に飢えているのか
メールの返信が遅くなった。ただそれだけのことに、何を憂いているのか。何をそこまで悲しんでいるのだろうか。
妄想は膨らむ一方で、自分を悲劇のヒロインに仕立て上げようと必死になり、悲劇のストーリーを頭の中で練りだしている。
「私のことを、それほど好きじゃなくなったの?」
「もともと、そんなに好きじゃなかったの?」
「私のことは、遊びだったの?」
鬱陶しい言葉の数々が頭の中をよぎっては消えていく。そしてまたよぎっていく。
つまらない。くだらない。世の中にありふれた恋愛話の数々。悩みや、相談の数々。
あふれにあふれかえっている、嫌というほど聞いてきた話。
それを私は自分の実体験としてなぞろうとしている。
あれほどまでに顔を顰めて聞いていた話、くだらない、ばかばかしいと揶揄していた話に、どっぷり自分から浸かろうとしている。
経験は全く役に立たない。むしろ、その経験(実体験)が自分にとってバージンであれば尚更、役に立たない。
自分は、頭で考えただけで、事態を解決できていた(と思っていた)勘違いヤローだということを実感する。
そして、無駄に知識ばかりを蓄えた頭でっかちになってしまって、どんどん臆病になっていることも実感する。
この先に何が起こるのか、わからない恐ろしさにただおびえて、怖さを隠すように攻撃的になっている。
ただただ、幼稚な26歳であった。