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指先についたチョコレートの塊をずっと見ていると
体温で少しずつ溶けて行っては
垂れて行った先にあった小さな突起物に
針金を引っかけて思いっきり引っ張ると
チョコレートの油分でするっと抜けて
勢いで向かいのテーブルに飛んでいった
そうだそうだったここはファミレスのボックス席だった
水滴がたくさんたくさんついたコップが
真ん中でも端っこでもない適当な場所に置かれていて
チョコレートの三つ目を取ろうと手をのばすと
向かいに座っているおじいさんがなんとなしにこっちを
ちらちらと見てくるような気がするので
目が悪くて気づいていませんよというふりをしながら
突起物を左手で押さえながら針金をもう一度かけようとする
とか頭いかれてる