普通のことしかできないから
言いたいことはたくさんあるけれど、いざ言おうとすると
キーボードを打とうとすると、画面を目の前にすると
その時その場所になると、途端に何も出てこない
こんなんじゃない、頭のなかではぽっと言葉が浮かんでは
消えていく、だからこんなもんじゃないんだ、
スピード感が全然ちがうよね。
洗濯物を干しているときに、部屋の窓を開けると、ぬるい部屋の中に
冷えた夜風が入ってきて、そんな時にぽっと
こうして毎日を過ごして、食べて、寝て、洗濯をして、仕事にでかけて、
食べて、テレビを見て、話をして、きっとそうやってまあまあ満ち足りた
生活を送って、幸せだなあと、
そして、その幸せは、私に何を残すのかと、
一体私は、何のために生きているのだと、
平和な幸せな毎日を暮らすために、嫌いなことを避けて、
うまくやりくりをして、時には頭をつかって、ずるいことをしたりして、
そんなことをして続けていきたい私の生きる道ってなんなんだって
すると、途端に、ただの洗濯物を干している瞬間だったのに
あらゆることが私の中を駆け巡っていって
そしてそれもまた光のスピードで、瞬く間に消えていく
次の瞬間には、私はタオルを干すのに取り掛かっている
誰にでも、きっと、絶対こういうことは起こっているんだと思うけれど
どこか、自分だけ特別だなんて思いたい節があって
そういう特別感ってのを至極大事にしながら、
やっぱり普通のありふれたことをやっているんだと思う。